令和3年(2021年)6月2日
阿比留瑠比の極言御免
学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決済文書改竄をめぐって、自殺した近畿財務局元職員の赤木俊夫氏が改嵐の経緯をまとめて職場に残していた文書が22日、国から遺族に開示された。そこか浮かび上がってきたこと何だろうか。
野党追及避けるためまず押さえておきたいのは 、赤木氏がこう明確に記していることである。
「現場として(森友学園厚遇した事実はない」
国会やマスコミはこの点に関して、延々と売却に際して森友学園側への配慮や当時の安倍晋三政権への忖度があったと追及してきたが、 赤木氏自身がそれを否定している。この言葉からは併せて、赤木氏が国有地の売却価格の自体に、特に問題はないと考えていたこともうかがえる。
この問題では昨年10月、 赤木氏の元上司の音声デーた タも公表されたが、元上司も証言していた。
「安倍さんとかから声が かかっていたら正直、売るのはやめている」「忖度みたいなのがあるみたいなことで(記載内容を)消すのであれば絶対消さない。あの人らに言われて減額するようなことは一切ない」
そして元上司は、改竄にまで追い詰められた理由をこう赤裸々に明かした。
「少しでも野党から突っ込まれるようなことを消したいということでやりました」「少しでも作業量を減らすためにやった」
むしろ、野党の国会での追及や資料請求、ヒアリング要請の洪水を避けるためだったと示唆している。野党やマスコミの描いた強引なシナリオは、完全に決壊したといえよう。
3年前の仮説 また、赤木氏は文書で、財務省理財局側が当時の佐川宣寿局長の名前を挙げて改竄を求めてきたことそ明らかにしている。理財局職員からの平成29年3月20日付のメールには、こんなことが書かれていた。
「(佐川) 局長から、国会答弁を踏まえた上で、作成するよう直接指示があった」
この理財局職員のメール には誰の国会答弁を踏まえるのかは記されていない が、文脈上、佐川氏のことだとみられる。
筆者は30年3月10日付の当欄で、佐川氏(当時は前国税庁長官) がその3日前に衆参両院で行われた証人喚問で、理財局長時代に「(森友学園との) 交歩記録は廃棄した」などと、改竄前の文書とは食い違う答弁をしていた件と、それに対する釈明を取り上げた。
佐川氏が「丁寧さを欠い た」「言い訳になるが」と断りつつ、こんな説明をしたことに焦点を当てた。
「連日連夜、朝までという日々で、本当に休むこともできないような、毎日ご質問を受ける中で、(答弁内容確認の)余裕はなかった」「レクチャーを受ける時間もほとんどなく、原課で作った答弁資料を入れてもらい、順次読み込んでいるという状況だった」
「ほとんど全員の質問者が森友の質問をされるケースもあった。本当に何十問なのか100問を超えるのか分からないが、(答弁準備が)事実上間に合わない ケースもあった」
これらは、 赤木氏の元上司の音声データ証言とも符合する。真相解明を求める野党の激しい追及が理財局の過重労働を生み、佐川氏のその場しのぎの誤答弁につながり、そのしわ寄せが近畿財務局にいって文書改竄 」というあってはならない事態を招いた-との構図が 見えてくる。
この仮説は3年前の当欄でも示したものだが、今回の文書でさらにその可能性が高まったと考える。(論説委員兼政治部編集委員)
安倍晋三