下院議長のケビン・マッカーシーはFOXニュースとのインタビュー(5月21日)で、「バイデン大統領は交渉よりデフォルトを望んでいるかのようで、毎回ころころと立場が変わるが極左思想にこだわり、われわれの要求を、じつに97日間も無視してきた。2兆ドルの予算削減を要求しているが、バイデンはあくまでも1兆ドルしか削減しないと交渉にまじめに取りくんでいる様子はない。かれはデフォルトに陥る米国初の大統領として歴史に名を刻むことになるかもしれない」
現在、赤字上限の31兆4000億ドル。バイデン政権は1・5兆ドルを上乗せし、2025年予算としたい考えだが、共和党が要求するウクライナ支援削減などの代替案を「受け付けられない」と突っぱねてきた。
具体的には6月1日に750億ドルが支出できなくなり、470億ドルの医療援助、120億ドルの軍人恩給ならびに100億ドルの軍人給与が含まれている。
6月2日には社会保障福祉関連250億ドルが不足、6月5日に220億ドルが不足し、6月6日には20億ドルが支払い不能に陥る。
ポール・クレイグ・ロバーツ(元財務次官)はこう言う。
「バイデン大統領における『国境』は(不法移民が流入する)米国とメキシコ国境ではなくウクライナ国境だ。まるで米国は1900年頃のインドの状況である。ディープステーツとかのエスタブリッシュメントが米国を分裂させ、トランプを誣告し、まるでいまの米国は『バベルの塔』だ」。
ロバーツはレーガン政権下で財務政策を主導し、82年に政界を引退後はいくつかの大學で教えるとともに経済分野の著作に専念してきた。現在84歳、健在で、多くの著作があり、日本語に訳された著作には『暴走する新自由主義』がある。
「宮崎正弘の国際情勢解題」令和五年(2023)5月22日(月曜日)より
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